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短歌書籍紹介
古典編
『西行』 高橋英夫 (岩波新書) 定価819円(税込み)
おすすめ度★★★
難解度★★
願はくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月のころ
さまざまの神話に彩られた漂泊の歌人、西行。
桜に生き、桜に死す…、西行といえば花。さらに旅から旅への漂泊の人として、世を捨てた隠遁の人としても、さまざまの神話に彩られている。
古来、西行ほど憧れと親しみを抱かれ続けてきた歌人はいないのではないでしょうか。
本書は西行の代表的な歌を読み込み、全国の遺蹟を訪ねることを通して、虚実の相乱れる西行神話を解体し、日本文学史上に燦然と輝く歌人の心と実像に迫ろうとする意欲作です。
鈴鹿山うき世をよそにふり捨てていかになりゆくわが身なるらん
あくがるる心はさてもやまざくら散りなんのちや身にかへるべき
西行の歌がなぜ現代人の心をこうも打つのか。
それは西行がつねに心を見つめ続けた歌人だったからではないでしょうか。
言葉の優雅さが何よりも重く評価された和歌の世界で、ひとり心を詠い続けた異端の歌人。
本書はそんな西行の魅力あふれる歌と人生を真正面から再評価した名著だと思います。
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